2022/03/17

iDeCoに発生する手数料とは?最安の金融機関・証券会社も紹介

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の手数料について解説します。iDeCoは節税効果もある魅力的な制度ですが、必ず費用が発生します。この記事ではiDeCoに発生する手数料・維持費について詳しく説明する他、最安の手数料の金融機関・証券会社なども紹介しますので参考にしてください。

iDeCoとは?

iDeCoとは、2001年にスタートした、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。毎月決められた金額を拠出し、掛金を運用することで老後に向けた資産を形成することができます。運用は60歳になるまで行い、60歳以降に老齢給付金という形で受け取ることができるという制度です。

iDeCoという愛称がつけられたのは2016年からで、それまでは「個人型確定拠出年金」や「日本版401k」と呼ばれていました。iDeCoはつみたてNISAと同じく運用して出た利益が非課税なのに加え、掛金が全額が所得控除の対象になるため、所得税・住民税が安くなるという節税メリットの大きい制度です。

国民年金を納めている60歳未満の人であれば、一部の人をのぞき制度を利用することができます。制度改正により専業主婦(夫)や公務員の人でも加入できるようになり、2022年5月には加入できる年齢が引き上げられ65歳まで加入できるようになるなど、制度改正により加入できる人が増えてきています。

参考記事:

iDeCoの始め方は?口座開設の方法やおすすめ金融機関まで解説

iDeCoのメリットとデメリット・注意点

iDeCoに発生する手数料

iDeCoには以下6種類の手数料が発生します。必ず発生するものもあれば、金融機関や商品ごとに異なる金額のものもありますので、よく確認しておくようにしましょう。

1. 加入時・移換時手数料(ここで言う移換=企業型DCからiDeCoへの移換)

2. 移換時手数料(ここで言う移換=金融機関の変更もしくはiDeCoから企業型DCへの移換)

3. 口座管理手数料

4. 給付事務手数料

5. 還付事務手数料

6. 信託報酬

1. 加入時・移換時手数料(企業型DC→iDeCo)

iDeCoに加入する場合、初回に必ず支払うのがこの加入時手数料です。新規に加入する人だけでなく、企業型DCに加入していた人が退職して個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する場合にも移換時手数料という形で発生します。手数料は全員一律2,829円(税込)で、国民年金基金連合会に対し事務費用として支払います。支払いは初回一回のみで、加入後の最初の掛金や移換された資産から差し引かれますので、認識しておきましょう。

2. 移換時手数料(金融機関の変更、iDeCo→企業型DC)

iDeCoにすでに加入していて、途中から口座を保有する運営管理機関(金融機関)を変更する場合、またはiDeCoから企業型確定拠出年金に変更する場合には運営管理機関によって移換時手数料がかかる場合があります。移換時手数料は現在どの運営管理機関も4,400円(税込)で、移換元の運営管理機関に支払われます。

移換時手数料がかかる運営管理機関(以下の金融機関が移換元の場合、手数料が発生):

SBI証券、楽天証券、松井証券、大和証券、マネックス証券、auアセットマネジメント、auカブコム証券、スルガ銀行、さわかみ投信

※2022年1月時点

3. 口座管理手数料

初回の掛金支払いから毎月発生する費用として、口座管理手数料があります。口座管理手数料とは、掛金の徴収や資産管理に加えコールセンターなど加入者への様々なサポートにかかる費用を加入者が負担するもののことで、口座管理手数料の中には「事務手数料」「資産管理手数料」「運営管理手数料」の3種類があります。

種類 支払い先 金額
事務手数料 国民年金基金連合会 年間1,260円
資産管理手数料 信託銀行 年間792円
運営管理手数料

運営管理機関

金融機関によって異なる

国民年金基金連合会に支払う「事務手数料」と、信託銀行に支払う「資産管理手数料」は、合計年間税込2,052円(月額171円)で毎月必ず支払うものです。運営管理手数料に関しては口座を保有する金融機関によって異なります。主なネット証券であれば運営管理手数料は無料のところが多く、月額の口座管理手数料の合計はほぼ最安の171円で揃っていますが、銀行や対面型の証券会社は運営管理手数料が高い傾向にあります。資産残高に応じて運営管理手数料の金額が設定されている金融機関もあります。

口座管理手数料は毎月必ず発生する費用ですので、iDeCoの口座を開設する場合はできれば最安の月額171円で利用できる金融機関を選びましょう。以下にiDeCoを取り扱っている代表的な金融機関の口座管理手数料を記載しますので、参考にしてください。(2022年1月時点)

【金融機関ごとの月額口座管理手数料】

運用管理機関名 月額手数料(税込)
SBI証券 171円(最安)
楽天証券 171円(最安)
松井証券 171円(最安)
大和証券 171円(最安)
イオン銀行 171円(最安)
マネックス証券 171円(最安)
auカブコム証券 171円(最安)
auアセットマネジメント 171円(最安)
野村證券 171円(最安)
ソニー銀行(資産50万円以上) 171円(最安)
みずほ銀行(資産50万円以上) 171円(最安)
第一生命保険(資産150万円以上) 171円(最安)
岡三証券 380円
ゆうちょ銀行 430円
ジブラルタ生命保険 431円
三井住友銀行 431円
三菱UFJ銀行/三菱UFJ信託銀行 431円
JAバンク 431円
みずほ銀行(資産50万円未満) 431円
さわかみ投信 446円
スルガ銀行 446円
横浜銀行 462円
日本生命保険 490円
ソニー銀行(資産50万円未満) 490円
第一生命保険(資産150万円未満) 492円

4. 給付事務手数料

運用を続け60歳以上になったときの話になりますが、iDeCoは給付金を受け取る際に信託銀行に対して給付一回につき440円(税込)の給付事務手数料がかかります。iDeCoの給付金の受け取り方は「一時金として受け取る」「年金として受け取る」「一時金と年金を併用して受け取る」の3パターンがありますが、いずれを選択した場合も受け取りごとに給付事務手数料がかかりますので注意が必要です。つまり年金方式を選択すると、仮に年6回20年間振込という現状選択できる最大の受け取り回数を選択すると、給付事務手数料だけで5万円以上かかります。将来運用した資金をどう受け取っていくかはそれぞれ希望があるかと思いますが、なるべく受け取り時に余計な費用がかからないようにしましょう。

5. 還付事務手数料

iDeCoの掛金を還付する必要が出てきた場合には、還付事務手数料がかかります。還付が行われるのは、職業が変わり法令の限度額を超えて拠出されていたときや加入資格のない人が拠出していたとき、そして国民年金の保険料を納付していないことが判明したときなどです。iDeCoに加入できるのは国民年金を納めている60歳未満の人(一部の人を除く)ですが、国民年金の未納月が判明した場合には、加入の要件を満たしていないため掛金が加入者に還付されます。

還付事務手数料には、国民年金基金連合会に支払う金額(1回あたり税込1,048円)と、信託銀行へ支払う金額(一回あたり税込440円)があります。還付される金額からこれらの手数料の合計(税込1,488円)が引かれてから入金されます。これはiDeCoの加入の有無に関わらずですが、国民年金については未納することがないようにしましょう。

6. 信託報酬

iDeCoで運用する商品の中で投資信託を選んだ場合は、信託報酬がかかります。信託報酬とは、投資信託を運用するための経費として、その商品を保有している間投資家がずっと支払い続ける費用のことです。この費用は別途支払うのではなく、保有している資産の中から「資産総額に対して何%」という形で毎日差し引かれていきます。投資する対象や運用のスタイルによって異なり、資産の残高に対してだいたい0.09~1.8%ほどかかります。これはiDeCoに関わらずつみたてNISAなど他の制度を利用して投資信託を購入してもかかる費用です。

運用期間が長くなり、保有残高が大きくなれば金額も大きくなり、しかも運用中は常にかかり続ける手数料ですのでしっかり確認して商品を選ばなくてはいけません。iDeCoは老後資金の形成を目的に長期間運用する制度ですので、口座管理手数料と同様に気にするべき費用です。

iDeCoに発生する手数料一覧

手数料名 対象者 支払うタイミング 支払う金額
加入時・移管時手数料

全ての加入者

(移換時とは、企業型DCからiDeCoに変更する場合のこと)

初回掛金支払時 税込2,829円(税込)
移換時手数料 金融機関の変更を行う加入者や、iDeCoから企業型確定拠出年金に変更する加入者 変更時 税込4,400円(金融機関によって無料の場合もある)
口座管理手数料 全ての加入者 毎月 月額税込171円~611円
給付事務手数料 全ての加入者 掛金受取時(60歳以降) 給付一回につき税込440円
還付事務手数料 掛金還付の必要がある加入者(国民年金の未納がわかった場合など) 掛金還付時 税込1,488円
信託報酬 投資信託を運用する全ての加入者 毎日 資産の残高に対してだいたい0.09~1.8%

コストも認識した上でiDeCoを活用しよう

iDeCoに発生する6つの手数料について解説しました。iDeCoは節税効果があり運用益も非課税となる魅力的な制度ですが、初期費用や毎月かかる費用も発生します。正しく理解し、無駄のない運用を行いましょう。

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