2022/03/07

医療保険の選び方

医療保険の選び方について解説します。医療保険は保障内容・保障金額・保険期間などによって多くの種類があり、自分に合った保険選びが難しいと思っている人も多いと思います。この記事では医療保険の基本的な特徴から、医療保険を選ぶ際のポイントを5つに絞ってわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

医療保険とは

医療保険とは、あらゆる病気や怪我の治療に対して保障される保険です。健康保険などの公的医療保険の不足分をカバーする目的で、任意で加入します。基本的に医療保険の主契約の保障内容として「入院給付金」と「手術給付金」があり、病気や怪我で入院や手術をした際に保険金を受け取ることができます。そして主契約とは別に女性疾病特約や先進医療特約など様々な特約があり、それらを付加することでより手厚い保障とすることができます。

参考記事:

医療保険の種類徹底解説

医療保険の特約の種類徹底解説

医療保険の加入率

では、民間の医療保険はどのくらいの人が加入しているのでしょうか。生命保険文化センターの調査によると、医療保険の全体の加入率は73.1%でした。年代別のデータは以下の通りです。

年代 医療保険加入率
20代 48.0%
30代 72.0%
40代 80.1%
50代 79.0%
60代 75.9%

40代の加入率が最も高く、8割以上の人が加入しています。20代は48%と半数程度ですが、病気や怪我のリスクはどの年代でもあるため、総じて加入率は高い傾向があります。

参考:令和元年度 生活保障に関する調査(生命保険文化センター)

医療保険の選び方

医療保険は保険会社ごとに様々な種類があり、自分に合った商品を探すのが難しいと感じている人もいるでしょう。医療保険を選ぶ際にまず決めなければいけないのは、以下の基本的な5つのポイントです。自分はどんなリスクに備えたいのか、自身の家計状況なども鑑みて長期的な視点で考えましょう。

決めるべき5つのポイント

1. 保障期間

医療保険には、保障期間が定期型と終身型の2種類があります。定期型の場合、10年や15年など保障される期間が決まっており、その期間が過ぎると保障はなくなります。保障が切れる前に更新して保障期間を延ばすこともできますが、更新のタイミングで保険料を再計算することになるため更新のたびに保険料が上がっていくのが一般的です。

それに対して終身型の場合、保障期間は一生涯で保険料も最初の加入時から変わることはありません。定期型と比べると保険料は割高であることが多いですが、保険料がずっと変わらないので定期型を更新して加入し続けるよりもお得になることもあります。50代以降などある程度の年齢以降に加入しようとすると保険料は高くなりますが、保険料が安い20代などのうちに加入しておけば、年齢を重ねてもずっとその保険料のまま保障を受けられるという特徴があります。

「保険料をできるだけ抑えたい」「子どもが小さいうちだけ保障をつけたい」などの場合は定期型がおすすめですが、「一生涯保障してほしい」「保険料が掛け捨てはいやだ」などの場合は終身型がおすすめです。まずは自分に必要だと思われる保障期間を考えましょう。

2. 保険料の払込期間

これは終身型の医療保険を選択した場合ですが、保障は一生涯でも保険料の払込期間は「生涯支払い続ける(終身払い)」か「〇歳までに支払いを終える(短期払い)」かのどちらかを選ぶことができます。保険料の月々の支払い額として安いのは生涯支払い続ける方ですが、老後収入がなくなってからもずっと保険料を支払い続ける必要があります。対して短期払いだと、月々の支払い額は終身払いよりも高くなりますが、60歳や65歳などで払済となって以降は保険料の支払いが必要なくなるため、老後の生活にゆとりができるというメリットがあります。

もし平均寿命くらいまで生きた場合には、終身払いと比べて短期払いの方が支払う保険料の総額が安く済む可能性が高いと言われていますので、月々の支払いに余裕があるようであれば短期払いを選択することをおすすめします。

3. 入院給付日額

医療保険の主な給付金の一つである入院給付金は、どのような保障内容にするか自分自身で決める必要があります(選択できる内容は商品によって異なります)。その中でも大きなポイントとなるのが、入院一日につきいくらもらえるかという「入院給付日額」です。一般的な医療保険では入院給付日額が5,000円~1.5万円の範囲で選べるものが多いですが、その選択によって月々の保険料も大きく変わってくる傾向があります。

実際、入院したときにかかる自己負担金額は平均して20.8万円と言われています。入院1日あたりの平均としては2.3万円となり、もし医療保険で設定できる最大の1.5万円が戻ってきたとしても手出しの金額が出るという計算になります。入院時にかかる自己負担額はもちろん病気や怪我の種類によって大きく異なりますが、月々支払う保険料をなるべく少なくしたいという場合は日額5,000円など低い金額を、入院時の手出しをなるべく少なくしたいという場合は日額1.5万円など高い金額を設定するようにしましょう。

入院時にかかった自己負担金額 割合
5万円未満 7.6%
5~10万円未満 25.7%
10~20万円未満 30.6%
20~30万円未満 13.3%
30~50万円未満 11.7%
50~100万円未満 8.4%
100万円以上 2.7%


入院1日あたりの自己負担金額 割合
5,000円未満 10.6%
5,000~7,000円未満 7.6%
7,000~10,000円未満 11.1%
10,000~15,000円未満 24.2%
15,000~20,000円未満 9.0%
20,000~30,000円未満 12.8%
30,000円~40,000円未満 8.7%
40,000円以上 16.0%

参考:令和元年度 生活保障に関する調査(生命保険文化センター)

4. 支払い限度日数

医療保険加入の際には、1回の入院あたりの支払い限度日数も60日・90日・120日などのうちから選択する必要があります。現在、すべての入院日数の平均は29.3日となっており、年々その日数は減少傾向にあります。入院日数が減少しているのは入院ではなく通院で対応したり、日帰りでできる手術が増えたからと言われています。支払い限度日数を増やすと長期の入院にも対応できるため安心は増えますが、その分保険料も上がります。現状の入院日数の平均を見ると、支払い限度日数は最小限の60日でも充分である可能性は高いです。しかし、精神疾患や脳血管疾患など一部の病気では入院日数の平均が60日を超えていますので、60日の保障で必ず賄えるわけではない点には注意しましょう。

年度 1回の入院あたりの平均入院日数
平成8年 40.8日
平成11年 39.3日
平成14年 37.9日
平成17年 37.5日
平成20年 35.6日
平成23年 32.8日
平成26年 31.9日
平成29年 29.3日

参考:平成29年(2017)患者調査の概況(厚生労働省)

5. 特約

最後に重要なポイントとして、特約を付加するかどうかがあります。医療保険の主契約は広い範囲の病気や怪我での治療を保障しますが、広く浅くなので特定のリスクに対して手厚い保障とは言えません。特約は主契約に追加して契約することで「自分が特に手厚く備えたいリスク」に対して保障を追加することができます。もちろん特約を追加するとその分保険料も上がりますので、本当に必要な保障かどうかを考えて付加するようにしましょう。

参考記事:『医療保険の特約の種類徹底解説

自身に合った医療保険を慎重に検討しよう

医療保険の選び方について解説しました。医療保険は様々な保険会社からたくさんの商品が販売されていますので、自分に合った保障内容の商品を選ぶ必要があります。また、加入時だけでなくライフステージが変わったりした場合には随時内容の見直しを行う必要もあります。一度加入したからと言ってそのままにせず、定期的に保障内容が適切であるか見直しをするようにしましょう。

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