2022/04/21

戸建て投資と区分マンション投資の違い

不動産投資における、戸建て投資と区分マンション投資の違いを初心者にもわかりやすく解説します。区分でマンションの一部屋を購入するのと、一戸建てを購入するのではメリット・デメリットはどのように変わってくるのでしょうか。特徴を比較しながらそれぞれに向いている人・向いていない人まで言及しますので、参考にしてください。

不動産投資とは

不動産投資とは、不動産を購入して運用・管理し、家賃収入や売却益を得る仕組みの投資のことです。主にワンルームマンション、一戸建て、アパートなど実物の不動産を購入して大家となり貸し出す形の「現物不動産投資」のことを指しますが、投資家から集めた資金でファンドが不動産を購入し、その収益を分配金という形で投資家へ還元する「証券化不動産投資」などの種類も存在します。本記事では「現物不動産投資」の中でも一戸建てを購入する「戸建て投資」とマンションを一部屋単位で購入する「区分マンション投資(ワンルームマンション投資)」の違いについて解説します。

参考記事:『不動産投資の種類をわかりやすく解説

戸建て投資のメリット

1. 物件価格が安い(中古の場合)

戸建て物件の場合、土地+建物の権利を購入することになり、建物もファミリー向けのものが多いのでワンルームマンションよりも広いですが、中古であれば物件価格を安く抑えられるというメリットがあります。ワンルームマンションは駅近など利便性の高いところに建てられていることが多いので中古物件でも500万円程度かかることが多いですが、中古の戸建てであれば物件価格100万円程度から見つけることができます。区分マンション投資ではなかなか見つからないお宝物件が豊富にある、というのが戸建て投資のメリットの一つです。

2. 立地の影響が少ない

主に単身者が住むワンルームマンションは、駅近かどうかや学校や企業から近いかどうかが最大の意志決定ポイントになります。そのため立地の悪いマンションは空室リスクが高く、投資対象として向いていないことが多いです。しかし戸建ての場合、住むのはファミリー層のため立地の影響が比較的少ないというメリットがあります。駅から多少遠くても、静かな周辺環境やペットや子ども可の環境があれば需要があるというのが戸建ての特徴です。駅近かどうかは戸建ての場合あまり重要ではありませんが、子どもがいるファミリーの場合校区がどこであるかがポイントになることもあるので、戸建て投資を検討する場合は校区とその学校の評判も調べておくとよいでしょう。

■戸建て物件で重視されるポイント

1. 閑静な住環境かどうか

2. 子供、ペットが騒いでも大丈夫な環境かどうか

3. 希望する小中高の学区かどうか

4. スーパー、商業施設、国道に近いかどうか

3. 入居期間が長い傾向がある

入居者にファミリー層が多い戸建て投資では、入居期間が長くなりやすく安定して収入を得られるというメリットもあります。主に単身者が住むワンルームマンションの場合は結婚や異動、転職等でだいたい2年~4年のサイクルで空室が発生すると言われています。入居者を募集しなければいけない頻度が多い分手間もかかりますが、戸建て投資であれば一度決まれば10年単位で住んでもらえることが多いという特徴があります。しかし戸建て投資の場合、家族全員分の意志決定が必要になるため、入居期間は長い傾向がありますが入居が決まるまでの期間はワンルームマンションよりも長いと言われています。

4. 資産価値が下落しにくい

戸建て投資は土地+建物がすべてオーナーの所有になるため、区分マンションよりも土地分の割合が大きく資産価値が大きく下落しにくいという特徴もあります。戸建ては木造建築(法定耐用年数22年)が多いため建物部分は経年劣化によって資産価値の下落が起こりますが、土地部分は経年劣化が起きず資産価値が落ちません。

5. 自由にリノベーションできる

中古戸建て投資を行う場合、建物を自由にリノベーションすることができるというメリットもあります。近年は「古民家風」「北欧風」「カフェ風」などテーマを決めてリノベーションを行うことで、物件の魅力が格段に上がり集客力も上がる傾向があります。DIYが好きなオーナーだと自身でリノベーションを行い費用を節約する場合もあるようですが、詳しくない人の場合は業者に頼んでやってもらうのが無難です。大規模なリノベーションになると数か月ほど時間がかかる場合もありますので、収益が出せるまでに時間がかかってしまうという点は気をつけましょう。

戸建て投資のデメリット

1. ローンを組みにくい

戸建て投資は特に中古の場合物件価格があまり高くなく、担保評価を得られにくいことからローンを組めない場合があります。金融機関にもよりますが、戸建て投資を検討する際はローンが組めない場合もあるということを認識しておきましょう。ローンのレバレッジ効果を使うことができないのはデメリットですが、現金一括で購入することで大幅な値引き交渉が可能な場合もあります。

※連棟式(長屋)戸建て、再建築不可の戸建てに関してはローンがほぼ100%組めないため、現金一括購入のみ可能となります。

2. 修繕費が高くなる傾向がある

戸建て投資はリノベーションを自由に行えるのがメリットですが、その分設備の修繕費用が嵩むというデメリットもあります。修繕の規模や内容によりますが、だいたい数百万円~1,500万円ほどの費用が平均でかかってくると言われています。修繕の内容によっては自治体から補助金が出る場合もありますので、修繕を行う際には補助金についても検討するようにしましょう。(バリアフリーにする、耐震補強を行う、窓の断熱化などの省エネ化リフォームに関しては補助金が出る可能性が高いです。)戸建て投資を検討する場合は、物件価格だけを見て判断するのではなく、かかってくる管理費用も考慮して物件を選ぶようにしましょう。

3. 手間がかかる

区分マンション投資と比べると、戸建て投資は手間がかかるという点もデメリットです。前述したような修繕の手間がかかる場合が多いことや、入居者が決まるまでの期間が長いことでやり取りの手間も多く発生します。サラリーマンが副業として不動産投資を行う場合、戸建て投資よりは区分マンション投資の方が手間なく始められる可能性は高いでしょう。逆に、時間をかけてでも納得する物件を育てたいと考える人にとっては自由に管理できる戸建て投資は向いていると言えます。

区分マンション投資のメリット

1. ローンが組みやすい

資産価値を評価しづらくローンが組みにくい戸建て投資と比べて、区分マンション投資の場合はローンが組みやすいというメリットがあります。単身者が今後も増加していくと見込まれる現状でワンルームマンションの需要は途絶えないと予測されており、特に築浅であれば金融機関の担保評価も出やすく、ローンが組みやすい傾向があります。個人の属性にもよりますが、フルローンも可能なことが多いので自己資金を使うことなく不動産投資を始めることも可能です。

2. 手間が少ない

戸建て投資と比べると、区分マンション投資のオーナーの管理負担は主に部屋の内装や設備に絞られており、手間が少ないのもメリットの一つです。また、入居者も単身者がほとんどのため部屋の劣化も最小限で、修繕等管理費用も少なく済みます。副業として不動産投資を行いたい場合は、区分マンション投資は最も手間なく収益を得られる可能性が高い投資方法と言えるでしょう。

3. 比較的流動性が高い

単身者向けのワンルームマンションは駅から近く利便性の高い場所に建てられていることが多く、戸建て投資と比べると比較的売却しやすい(流動性が高い)という特徴があります。ローンが組みやすい点に加えて今後も単身者が増えていくことが予測されているので、購入できる人、購入したい人が今後も増えていくことが予想されます。流動性の低さが大きなデメリットである不動産投資において、比較的流動性が高いというのは大きなメリットの一つです。

区分マンション投資のデメリット

1. 利回りが低い

区分マンションは立地の良い場所に建てられていることが多いので、家賃収入に対して物件価格が高くなる傾向があり、利回りが比較的低いと言われています。平均的な区分マンション投資の利回りは3~4%で、5%を超えると利回りが高い部類に入ってきます。利回り10%を超える物件もちらほら見かける戸建て投資と比べると、利回りの低さはデメリットです。しかし、区分マンションでも中古であれば利回りを上げることは可能ですし、表面利回りは高ければ高いほうがいいとも言い切れないのであまり気にしなくても良いポイントとも言えます。特に人気のエリアだと利回りは低くなりますので、利回りだけでなくその物件の条件を総合的に判断するようにしましょう。

2. 自由に運営できない

区分マンション投資の場合、1部屋のみの権限となるため建物全体に関する権利は限定的となります。いくら部屋の管理を完璧にしていても、例えば建物の外観や共用部の劣化が目立つような状態だと入居者がつきにくいといったことも発生してしまいます。建物全体でまとまった管理を行うことができないというのも区分マンション投資のデメリットです。

戸建て投資と区分マンション投資の違い

項目 戸建て投資 区分マンション投資
家賃

高い

低い

利回り 高い 低い
空室リスク 高い 低い
修繕リスク 高い 低い
流動性 低い 高い
ローン 組みにくい 組みやすい

それぞれのメリット・デメリットを理解しよう

戸建て投資と区分マンション投資の違いについて解説しました。それぞれにメリット・デメリット含め特徴はありますが、物件ごとに状況が異なる場合も多々あります。物件を検討する際は細部まで確認して、想定と異なっていたということがないようにしましょう。

HOME記事一覧Page Top