2022/06/27

火災保険の種類とは。補償対象から注意点まで徹底解説

火災保険の種類について解説します。賃貸契約や住宅購入の際に加入することとなる火災保険ですが、不動産業者に勧められたまま加入しているという人も多いのではないでしょうか。この記事では火災保険の補償対象から種類、火災保険に関する注意点までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

火災保険とは

火災保険とは損害保険の一種で、火災を含めた幅広い災害で損害を負った際に保険金が支払われるという保険です。現在、日本では一日に約100件の火災が発生しています。火災が起きることで、家自体だけではなく家の中にある家具や資産まで失ってしまう可能性があるため、火災に対する備えは絶対に必要です。火災保険に加入することで損害に対する保険金を受け取ることができ、早期に被害から立ち直ることができる非常に重要な保険と言えます。

火災保険の補償対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3パターンに分かれています。分譲物件を購入する際はもちろん購入者が保険に加入しますが、賃貸物件を契約する際は、建物に対する火災保険は大家さんがかけて、住居内の家財に対する火災保険は借主がかけるというのが一般的です。

火災保険の補償対象となるもの・ならないもの

火災保険は「火災」という名前がついていますが、補償されるのは火災での被害だけではありません。商品によっても異なりますが、主に以下のような被害が補償対象となります。

火災保険の主な補償対象

・落雷による家財などへの被害

・強風によって瓦が飛ばされるなどの風災

・洪水による床上浸水などの水害

・大雪による雪害

・竜巻による被害

・水漏れによる被害

・雹(ひょう)による被害

・建物外部からの飛来物による被害

・破壊・盗難などによる被害 など

火災だけでなく水漏れや雪害・盗難などあらゆる住宅のリスクを補償してくれることがわかります。

火災保険の補償対象外となるもの

火災保険はあらゆるリスクに対応していますが、補償の対象外となるものもあります。まず、家財の補償をつけていたとしても通貨や有価証券や切手などは補償されません(ただし、商品によっては通貨の盗難は一定額のみ補償されることがあります)。また、自動車も家の敷地内に置かれるものにはなりますが、家財としては認められません。火災で被害を負ったものすべてが補償対象となるわけではないので注意してください。

また、地震や火山の噴火などの被害に関しても補償対象外となります。地震や火山の噴火の被害に対して補償されるのは地震保険で、地震保険は単独では加入することができず、火災保険とのセットでのみ加入することができます。地震による被害にも対応しておきたい場合は、火災保険加入時に地震保険にも加入するようにしましょう。

日本では地震による被害が多いため、地震保険に加入する人の割合は増加しています。火災保険に加入している人のうち、地震保険も一緒に加入している人の割合は2011年度は約53%でしたが、2020年度は約68%となっています。

参考:グラフで見る!地震保険統計速報(損害保険料率算出機構)

火災保険は必須?

火災保険は住宅購入や賃貸契約の際に加入が必須なのかと言うと、実はそういうわけではありません。火災保険は基本的に任意での加入となります。ただし、賃貸契約であれば契約をする上で、持ち家購入の場合は住宅ローンを組む上で火災保険の加入が必須となっていることが多いです。火災保険に未加入だと、火災などで被害を受けた場合に現状復帰に多額の費用がかかり、払いきれず大家さんや住宅ローンの貸主に大きな損害が出る可能性があります。そのためあらかじめ火災保険加入を必須にしておき、火災などの被害が出た場合にも保険金で賄えるようにしておくということです。

また、火災に関しては「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」という古い法律があり、例えば隣家が火災の火元となり延焼して自分の家が焼けた場合(自分に責任がない場合)でも、隣家に損害賠償を求めることができません。思わぬ被害に対応するためにも、火災保険は入っておくべきだと言えるでしょう。

火災保険の種類

火災保険には大きく分けて個人の住居用にかける保険と、店舗や会社など事業所にかける保険の2種類があります。その中でもいくつかの種類があるので、以下で詳しく説明します。

1. 住居用の火災保険(戸建て・マンション・賃貸など)

住宅火災保険

一番基本的な住居用の火災保険が「住宅火災保険」です。火災による被害はもちろん落雷や台風、大雪などの自然災害や、破裂、爆発などの事故に対する補償も備わっています。できるだけ最低限の補償内容にして保険料を抑えたいという場合におすすめです。

住宅総合保険

住宅火災保険よりも補償の範囲を広げた火災保険が「住宅総合保険」です。住宅火災保険の補償範囲に加えて、落下物・水漏れ・盗難などの被害にも対応しています。天災以外のトラブルにも対応することで、住まいに関するリスクを総合的に補償することができます。

オールリスク型保険

住宅火災保険よりも補償範囲を広げた住宅総合保険よりもさらに補償範囲を広げたのが「オールリスク型保険」と呼ばれる火災保険です。住宅総合保険の補償範囲に加えて、住居の取り壊し・鍵の紛失・自然災害での保険金の増額などその補償内容は各商品によって大きく異なります。イメージとしては火災保険に付加できる特約などをすべて付加したもので、最も多様なリスクに対応することができます。補償が手厚いので安心感はありますが、その分保険料は高くなるため本当にすべてが必要な補償であるかどうかはよく検討するようにしましょう。

団地保険

「団地保険」とは、マンションや公営住宅などの共同住宅を補償するための火災保険です。補償される範囲は住宅総合保険とほぼ同じですが、団地保険はこれに加えて個人賠償責任保険や団地内で起こった傷害などに対する補償も入っています。

2. 事業所用の火災保険(店舗・会社など)

普通火災保険

住宅以外の店舗や店舗兼住宅・事務所などの建物とその中の設備一式を補償するのが「普通火災保険」です。補償される範囲は住宅火災保険とほぼ同じく火災・落雷・風雪などの被害を補償します。水濡れや盗難などは補償対象外であることが多いため、店舗の内容などを鑑みてリスクが高いと思われるものにはオプションで補償をつけるとよいでしょう。

店舗総合保険

「店舗総合保険」は、普通火災保険の補償範囲を広げた火災保険です。こちらもオールリスク型保険と同じく商品によって保障範囲は大きく異なり、店舗が休業した場合の損失を補償するなど事業の内容に合わせた補償を選べるという商品もあります。その分普通火災保険よりは保険料が上がりますので、本当に必要な補償であるかどうかはよく見極めましょう。

火災保険に関する注意点

1. 個人賠償責任保険の有無

個人賠償責任保険とは、物を壊してしまったり、他人に怪我をさせてしまったりといった場合の損害賠償額を補償する保険です。火災保険には個人賠償責任保険を特約で付加することができますが、付加することで保険料が上がります。この個人賠償責任保険は火災保険だけでなくすでに加入済の他の保険に付帯されていることもあるので、注意が必要です。すでに個人賠償責任保険が付いている保険に加入していないか、事前によく確認するようにしましょう。

2. 補償される割合

火災保険を選ぶ際は、いざ被害に遭ったときに保険金がどの程度支払われるかという割合をよく確認するようにしましょう。商品によって「実際の損害額が全て補償される」「実際の損害額が補償されるが、上限で〇万円」「損害額の〇%」など補償される割合は異なります。特に保険料の安さだけで選んでしまうと、いざというときに必要な補償額に全然足りないということも起こり得ますので気をつけてください。

3. 火災保険は所得控除の対象外

通常、生命保険などは保険料控除の対象となり、年末調整で手続きを行うことで所得控除が行われますが、火災保険はこの保険料控除の対象外です。年末調整で申告を行っても所得控除にはなりませんので注意してください。ただし、火災保険とセットで地震保険に加入していた場合、地震保険の保険料については「地震保険料控除」の対象となります。地震保険もセットで加入している場合は、年末調整での申告を忘れないようにしましょう。

参考記事:『生命保険料控除とは?対象となる保険から申請方法、注意点まで

4. 保険期間は最長5年になる予定

火災保険の保険期間は1年間の短期から、2年~10年など長期でも契約することができます。一般的に保険期間を長期にすればするほど保険料は割安となる傾向があります。しかし、この火災保険の保険期間について、2022年10月より10年の長期契約が廃止となる予定です。日本ではここ数年大規模な災害が相次いでおり保険金の支払いが急増していることから、長期契約を廃止し保険料の改定を行いやすくする狙いがあるようです。最長の保険期間が短くなることで見直しが行いやすくなるというメリットもありますので、保険期間終了時は安易に更新するのではなく他の商品と比較検討するようにしましょう。


火災保険の種類を理解しよう

火災保険の種類について解説しました。なんとなく選んでしまいがちな火災保険ですが、補償内容によって様々な種類があります。自分の住宅にどんな補償が必要なのか、補償内容をよく理解した上で加入するようにしましょう。

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