2022/04/20

不動産投資における一棟アパートと一棟マンションの違い

不動産投資で一棟買いする際の、一棟アパートと一棟マンションの違いを解説します。アパートとマンションの構造や価格の違いから、一棟アパート、一棟マンションそれぞれのメリット・デメリットや注意点まで初心者にもわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

不動産投資とは

不動産投資とは、不動産物件を購入して第三者に貸し出し、家賃や売却益を利益として受け取る投資方法のことです。主にワンルームマンション、アパート、一軒家など実物の不動産を購入して大家となり貸し出す形の「現物不動産投資」のことを指します。本記事では、一棟丸ごと購入する不動産投資の中でも「一棟アパート」と「一棟マンション」の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

参考記事:

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一棟アパート投資と一棟マンション投資の違い

一棟アパート投資と一棟マンション投資は、そもそもの構造の違いから出口戦略まで細かな違いがあります。大きな違いは以下図のようになっています。


一棟アパート 一棟マンション
構造 一般的に木造か軽量鉄骨造 一般的に鉄筋コンクリート造
耐用年数 22年 47年
ローンの条件 融資期間が短くなりやすい 融資期間が長くなりやすい
物件価格 低い(数千万~1.5億ほど) 高い(数千万~3億ほど)
階数 3階建てまで 3階建て以上(2階建ての低層マンションもまれにある)
設備

・エレベーターがない

・ユニットバスタイプが多い

・エレベーターがある(ないマンションもある)

・オートロック、防犯カメラなどセキュリティが充実していることが多い

家賃 低い 高い(高層階になるほど高い)
災害リスク 高い 低い
出口戦略

・売却しにくい

・解体はしやすい

・(費用が高いので一概には言えないが)売却しやすい

・解体はしにくい

一棟アパート投資のメリット

1. 価格が安い

一棟アパートの物件価格は、中古であれば3,000万円程度~、新築であれば1億円程度から購入することができます。区分マンションよりはもちろん費用がかかりますが、一棟マンションと比べると圧倒的に安く、個人投資家でも手が出しやすいというのがメリットです。アパートは主に3階建てまでで、木造か軽量鉄骨で造られているため建築費用が抑えられるというのが価格の安さの理由ですが、その分災害リスクは上がってしまうなどデメリットもありますので、慎重に検討するようにしましょう。

2. ランニングコストが安い

アパートはマンションよりも設備が簡易的なことが多く、共用部分も少ないため管理費用が安く済むというメリットもあります。またアパートはマンションより戸数が少ないことが多いので、その分管理する面積が少なく固定資産税や都市計画税も少なくなります。一棟という単位で購入していてもランニングコストが少なく済むのは一棟アパートのメリットです。

3. 取り壊しが容易

出口戦略として売却を考えた際に、建物があるよりも更地の状態の方が高く売れる場合もあります。そのような際に解体が行いやすいのはマンションよりもアパートです。アパートは木造か軽量鉄骨造りが多いので、取り壊して更地にしたい場合に取り壊しが容易で費用も少なく済むというメリットもあります。

材質による解体費用の目安は以下の通りです。

構造 解体費用の相場
木造 坪数×3~4万円
軽量鉄骨造 坪数×3~6万円
鉄筋コンクリート造(RC) 坪数×4~10万円

一棟アパート投資のデメリット

1. 空室リスクが高い

アパートとマンションを比較した場合、マンションの方が設備やセキュリティが充実していることが多いため入居希望者が集まりやすい傾向があります。そのためマンションと比べるとアパートは空室リスクが高くなってしまうのがデメリットの一つです。特に築年数が古いアパートは物件価格は安く投資家にとっては魅力的に見えますが、入居者を集める魅力付けをかなり頑張らないと空室を埋めることが難しいケースが多くなっています。

2. 災害リスクが高い

木造や軽量鉄骨造が多いアパートは、どうしても鉄筋コンクリート造のマンションと比べると災害リスクが高くなってしまいます。耐震性や耐火性で劣るアパートは、大災害時の被害が大きい傾向があるため火災・地震保険に入っておくこと、その土地にある災害リスクをしっかり見極めることが大切です。

3. 住民トラブルが起きやすい

構造上防音性が低いアパートでは、騒音等などの住民トラブルが起きやすいというデメリットもあります。しかしこれは築年数の経っているアパートの話で、築浅のアパートであれば木造でも防音対策がきちんとされている建物も増えてきました。住民トラブルの可能性を低くするためには、建物の防音性も確認しておきましょう。

4. 流動性が低い

物件の売却を考えた際、マンションよりアパートの方が流動性が低い(売れにくい)というデメリットもあります。築年数が経過したアパートの場合、次に購入する人がローンが組めない可能性が高くなるため(残存法定耐用年数によって融資の評価がされるため)、売買できる人が限られてしまいます。築古のアパートの売却を考える場合は、購入時の価格よりかなり安くしないと売れない可能性を意識しないといけません。しかし、アパートの場合は更地にして売却することで土地の資産性が高く評価される場合もあります。また、マンションはそもそもの物件価格が高いので購入できる人が限られており、マンションであれば一概に流動性が高いとも言えません。

一棟マンション投資のメリット

1. 空室リスクが低い

設備やセキュリティが充実しているマンションは、一般的にアパートよりも入居希望者が多く空室リスクが低いと言われています。しかし最近建設されたアパートは、マンションに劣らない室内設備やセキュリティを備えているものも多くなってきており、一概にマンションだから空室リスクが低いとは言えなくなってきています。特に築古のマンションの場合、マンションのメリットが感じられず空室が埋まらないといったケースもあります。それぞれの物件ごとに空室リスクは異なりますので、購入前によく確認するようにしましょう。

2. 災害リスクが低い

鉄筋コンクリート造(RC)が多いマンションは、アパートと比べると災害リスクが断然低くなります。大きな地震が起きた場合にも新耐震基準の建物であれば倒壊の恐れはそれほど大きくなく、安心して運営することができます。しかし近年は地震や火事以外にも土砂災害、水害、風害などのリスクが日本全国で高くなってきています。ハザードマップ等を参考にもともとの土地にあるリスクをしっかり見極めて、災害リスクがより低い場所を選ぶようにしましょう。

参考:ハザードマップポータルサイト

3. 資産価値が下落しにくい

マンションはその構造から建物自体の経年劣化が遅く、資産価値が下落しにくいというメリットもあります。また、駅から割と離れた場所に建てられることが多いアパートと比べてマンションは駅近の物件も多いため、土地の価値も落ちにくいと言えます。土地と建物両方の資産価値が下落しにくいというのは大きなメリットです。

4. 総合収益が大きい

マンションはアパートと比べ共用部分や設備が充実していることが多いため、比較的高い家賃設定を行うことができます。またアパートと比べ戸数も多い傾向があるため、総合収益が大きくなるのも一棟マンション投資のメリットです。マンションは階数が高くなるごとに家賃も高く設定できるという特徴があるので、規模の大きなマンションになるほど収益も加速度的に大きくなります。しかしその分物件価格は上がりますので、リスクも高くなることは認識しておきましょう。

一棟マンション投資のデメリット

1. 価格が高い

一棟マンションはなんといっても価格が高いのがデメリットです。特に新築マンションの場合、個人投資家はなかなか購入できる存在ではないことが多いです。関東でも駅徒歩があり築年数が古いマンションであれば数千万円から購入可能ではありますが、あまり相場よりも安い物件だとよほど賃貸需要が見込めない場所であるか、何か他に事情が隠れている可能性もあります。賃貸需要がありそうな場所なのに安すぎる物件であれば、「再建築不可ではないか」「告知事項はないか」を営業の人に確認するようにしましょう。

2. ランニングコストが高い

マンションはアパートと比べて設備がしっかりしており規模も大きいことが多いので、ランニングコストが多くかかる点もデメリットです。アパートにはない設備があることで、大規模修繕時の費用や日々のメンテナンス費用も多くかかります。特に今ほとんどのマンションについているエレベーターは、事故防止のための定期点検やメンテナンスが義務づけられており、費用のかかる設備の一つです。エレベーターの法定耐用年数は17年と定められており、エレベーターのリニューアルを行うには500万円~1,000万円程度が必要になります。一棟マンション投資を行う場合は、節目節目でまとまった資金が必要になることも把握しておきましょう。

マンションとアパートの違いを理解しよう

不動産投資における一棟アパートと一棟マンションの違いを解説しました。資金は多く必要になりますが総収入額が大きくスケールメリットが活かせる一棟投資。アパートとマンションの性質の違いを理解して、自身に合った方法を検討しましょう。

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