2021/07/29
アクセンチュアへの転職を考えるなら知っておきたいこと【転職者の学歴や志望動機、面接内容まで】
アクセンチュアへの転職を検討する際に知っておくべきことをアクセンチュア現役社員の方にまとめてもらいました。転職ルートや転職者の学歴や経歴、経験者・未経験者別の志望動機、面接内容、自身も転職して入社した筆者の実体験にも基づいた入社後のリアルまで幅広く解説していただきました。
アクセンチュアへ転職するには
アクセンチュアへ転職するには、主に以下のルートがあります。
1. 採用HPや中途採用セミナー・イベントから直接応募する
2. 転職サイトや転職エージェントを通して応募する
3. 社員の紹介を通して応募する
個人的には転職エージェントを通して応募するのがおすすめです。筆者自身も転職エージェントを利用して、2ヶ月間という短期決戦で、27歳の時にコンサル未経験の営業職からアクセンチュアへの転職を決めました。転職エージェントを利用するメリットは大きく以下の3つだと感じています。
・企業や募集ポジションについて詳しく説明してくれる
・面談日程などの調整を代わりにしてくれる
・少しでも気になることを気軽に質問できる
こちらの記事に転職エージェントを利用するメリットについて詳しく書かれているので参考にしてください。
転職エージェントを利用する場合には、ビズリーチやリクルートエージェント、マイナビエージェントといった大手に登録すれば必ずと言っていいほどアクセンチュアの案件があるはずです。
筆者は2ヶ月間という短い期間での転職活動でしたが、複数の転職サイト・転職エージェントに登録をしました。多くの求人案件を紹介されましたが、転職エージェントの当たり外れはかなりあると感じました。転職エージェントは、入社した人が一定期間(半年~1年程度)勤続すると企業からフィーがもらえるという報酬体系なので、とにかく入社させることを考えがちです。なお、手数料が多く取れることから、各種コンサルティングファームやリクルート等、中途採用の募集数が多くハイクラスな案件ばかりを勧めてくるキャリアアドバイザーもいます。入社後の過ごし方やキャリアの積み方、そしてさらにその先の転職までを考えたアドバイスができるキャリアアドバイザーは稀有なので注意が必要です。
個人的にはビズリーチがおすすめです。他のコンサルティングファームや外資系企業などハイランクな求人案件が多く、連絡が来る転職エージェントの質も高いように感じました。
転職エージェントの合う・合わないは転職する上で重要な要素なので、時間があれば複数の転職エージェントに登録して、色々相談をしてみるといいと思います。費用は一切かかりません。
また、直接応募・転職エージェント経由・社員紹介いずれのルートであっても、面接の内容や準備する書類は変わりません。履歴書・志望動機書を用意することが必要です。また面接が進むと、希望年収を聞かれるので、こちらの記事の年収目安と照らし合わせて、どの職位で入社したいか・どれくらい年収が欲しいかを考えた上で回答するといいでしょう。なお、年収を吊り上げるテクニックとして他社の内定を先に出し、その年収以上を出すように交渉する、というものがありますが、逆に期待値も比例して高くなるため諸刃の剣にもなります。使いどころには注意が必要です。
※本記事はアクセンチュア現役社員による寄稿記事です。
参考:
アクセンチュア社員の年収・貯金などの資産データ一覧|OpenMoney
アクセンチュアへの転職者の出身業界や学歴
アクセンチュアに実際に転職してくる人には、コンサル未経験の人が多い印象があります。コンサル経験者でも、アビームコンサルティングや野村総研、船井総研などといった内資系コンサルティング会社が多い気がします。営業や総務など、コンサルティングや企画が全くの未経験でも入社している人もいます。前職がどのような職種だったかも優位な傾向はないと感じていますので、アクセンチュアへの転職を希望される方は特に今の業界・職種を気にせずトライしていいかと思います。実際に筆者も営業職出身でコンサル未経験でした。
また学歴については、そこまで重視していないように感じます。一般にコンサルティングファームの社員は東大・京大・一橋・早慶等の大学出身者が多いイメージがあるかと思います。それはそれで正しいのですが、偏差値で言えばMARCHレベル出身の方も多いです。それ以下の偏差値の大学についても、部署にもよりますがTechnologyやDigitalには一定数在籍しています(産近甲龍やその他女子大等)。とは言え、全く聞いたこともない大学出身の人は見たことも聞いたこともないで、一定以上の水準は必要かと思います。いずれにせよ、ロジカルシンキング・コミュニケーション能力などコンサルタントとしての素地があるかどうかが重視されるため、高学歴でも落ちる人は容赦なく落ちますし、その逆もまた然りです。
アクセンチュアに入るためには英語力は必要か?
英語力に関していうと、必ずしも必要ではありませんが、あったら身を助けます。
書類提出時点でTOEICスコアを持っていなかったとしても入社できたというケースはよく聞きます。また、職位の昇進条件の一つにTOEICスコアがありますが、アナリスト⇒コンサルタントでも600点程度と他の外資系ファームと比べたらかなり求められている水準が低いと感じます。
とはいっても、グローバル企業なので、入社直後から英語のリサーチ資料を読むこともあれば、日本語のノンネイティブと英語でディスカッションしなければならないこともあります。(当然、その場合は英語力を事前に確認はされますが。)英語ができないと活躍できる幅が制限されるので、できた方が便利です。
コンサルタント志望者の主な志望動機
コンサルタント志望者の志望動機は、コンサル未経験者かコンサル経験者かで異なってくるかと思います。
1. コンサル未経験者の場合
現職で仕事をする中で見えてきた課題を、内部からではなく課題解決の専門家であるコンサルタントとして外から変えたい(できるなら業界の仕組みごと変えたい)というパターンが一番書きやすいと思います。
例えば営業職をしている人であれば、以下のパターンが考えられます。
・営業職としてコンサルティング営業をしているが、ソリューションはあくまで商品であり、本当に相手が必要としている価値を提供できない経験があった
⇒考え方そのものを提供するコンサルティングという仕事に興味を持った
・営業の手法が俗人的であり、企業として営業担当が蓄積したノウハウや知識を集約・活用できていない
⇒優秀な営業担当が行っている顧客管理方法や営業アプローチをシステム化し、営業力を底上げするシステムが必要だと思った
こうした現場で感じている課題感は、コンサルティング会社のマネジメントレベルも重視ししています。もちろん現職の環境で解決できるものもあるため、「外からの力を使わないと内部では解決できない」「業界の仕組みを変える必要がある」といった、大きな課題やテーマを自分の中から拾い上げることが必要です。
2. コンサル経験者の場合
コンサル経験者の場合は、出身のコンサルティングファームにもよりますが、企業が持つ案件の性質を比較した上で、どのようなコンサルティングをしたいかを整理すると書きやすいと思います。
・販売代理店の経営や売上に対するコンサルティングを行い、小規模ながらも経営者が抱える悩みを理解し、解決する経験を積んだ
⇒より大きな企業に対して、この経験をレバレッジすることで業界の課題解決に取り組みたい
・もともとデジタルマーケティングに興味があったが、社内にナレッジがなく案件自体も少なかった
⇒アクセンチュアはIMJを買収しデジタルマーケティングのノウハウを一気に得ることで、案件も多いと聞いた
転職面談の内容
転職面談は、部門や開催方式によってことなり、1人ずつ1回1時間程度時間を取ってやるケースもあれば、グループ面接をすることもあるようです。Strategy・Consultingの場合は、通常は1対1の面接が3回設定されます。そのうち2回はビジネスケース問題が出題されます。面接官はたいていの場合、マネージャー⇒シニアマネージャー⇒マネージングディレクターとなるようです。(マネージャー⇒マネージングディレクターの2回で終わるケースもありますが。)
面接については、「なぜ事業会社でなくてコンサルタントを選ぶのか?」「コンサルタントとしてどのようなことを実行したいか?」等、ビジョンを非常に具体的に聞かれます。(筆者の実体験では、他のコンサルティングファームも同様でした。)面接に臨む前に、自分がなぜコンサルタントになりたいのか、それはなぜなのか、その思うのはなぜなのか、などとにかく"なぜ"を繰り返して自問自答すること、そして何をやりたいか具体的にイメージ・整理することが必要です。
またケース問題については、よくある「○○という企業がある。この企業はxxという状況である。この企業の売り上げを△年で2倍にするプランを立てろ」という類の問題が出題されます。
ビジネスケース対策の本はいくつかありますが、有名なところでは『過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題』(東洋経済新報社)が読みやすいです。こういった対策本を読みこなし、面接に臨みましょう。
それ以外のロジカルシンキングやコミュニケーション能力は、一朝一夕に鍛えられるものではありません。正直なところ、1週間や2週間程度本を読んだところでどうしようもない部分が大きいでしょう。自信がないという方は、中長期のスパンで今の仕事を通して能力を向上させていくことが必要です。
特にロジカルシンキングについては、入社後でも勧められるような名著として『ロジカル・シンキング』(東洋経済新報社)という本があります。ご参考にしてください。
面接に合格したら
面接に合格すると、人事と改めて入社条件に関する相談の機会が設けられます。どの職位で、年収いくらで入社できるかを相談できる最後の機会なので、アクセンチュア側の期待値と自分の能力・希望を鑑みて必要に応じて交渉をするといいでしょう。
その後、オファーレターと呼ばれる職種・配属・年収などの入社条件が記載された内定承諾書がメールで送られてきます。このオファーレターへの回答期限はたいてい3営業日程度なので、他の会社に内定が出ている場合やその他に受けたい企業がある場合には注意が必要です。
入社後は「チャージャビリティ」を気にしよう
アクセンチュアでは入社後に2~3週間程度研修を行い、その後はアサインインタビュー(プロジェクトを説明し参加意思を確認するため面談)が設定されます。
インタビュアーはそのプロジェクトのシニアマネージャー・マネージャーであることが多く、どのようなプロジェクトやっているか、どういう人材を求めているかを説明し、インタビュイーに参加意思を確認します。状況に応じては一時期で複数のインタビューを受けることもあれば、1つしかない場合もあります。いずれにせよ、人事部が本人の適性を踏まえて人が空いているプロジェクトとのインタビューを設定することになっています。入る仕事がなければ成長しないばかりか評価も下がるので、基本的にインタビューは呼ばれたら参加する方がいいでしょう。
これもコンサルティングファーム共通ですが、社員の評価軸の一つに"Chargeability"(チャージャビリティ)というものがあります。
コンサルティングファームでは、通常コンサルタント一人当たり、1時間何万円という報酬計算をし、働いた時間だけクライアントに請求を掛けます。社内では、誰が・どのアカウント(クライアント企業)の・何のプロジェクトで・何時間働いたかを厳密に管理しています。
このクライアントに対して報酬を発生させることを「チャージ」と業界では呼んでいます。そして「チャージャビリティ」は、勤務時間のうちどれだけの時間をクライアントへチャージできたか、の割合を指します。
コンサルタントもサラリーマンであるため、プロジェクトとは関係のない社内全体会議やトレーニング、経費処理などの事務作業などによって、勤務時間のすべてをクライアントのために振り分けることができません。また、上記の通りアサインするプロジェクトがなければチャージができなくなるため、チャージャビリティはどんどん下がっていきます。
逆に言えばチャージャビリティが高いほど多くのプロジェクトから必要とされ、その分だけ能力を身に着け、会社に利益をもたらした人材としてみなされます。(部署の責任者も、どれほど部下をクライアントに対して貢献させ、会社に利益をもたらしたかを測る指標として重要視しています。)なんにせよ、入社後は自分が仕事するための機会を作るため、インタビューを率先して受けに行くといいでしょう。
アクセンチュアに実際に入社して感じたこと
良い面と悪い面でそれぞれあります。
良い面としては、外資系企業としてはドライではなくかなりウェットな、つまり人情味のある会社だと感じていることがあげられます。特に感じたのは人を育てる文化が根付いていることで、たいていの上司は綿密にレビューをしてくれますし、キャリア上の相談にも乗ってくれます。これは良い意味でのギャップで、コンサルティング未経験の筆者が色々な失敗を繰り返しながらもこれまでなんとかやってこれている大きな理由の一つです。とはいえ、日系大企業のように飲み会に強制的に付き合わされたり、貴重な休みの日に強制的にゴルフに参加させられたり(いずれも筆者の前職では頻繁にありました)、ということはないので、国内企業よりはドライというか個人の自由を尊重している向きもあります。
悪い面としては、想定通りではあるのですが、時間外で残業せざるを得ないケースが実態としてあることです。例えば筆者は、あるプロジェクトで何とか1日だけ休みを取って国内旅行に行った際もパソコンを開いて仕事をし、東京に戻って深夜3時に上司と電話会議し、翌日8時に出社する、といった経験があります。最近はホワイト化してはいますが、決められた時間内で求められる価値を出し切るのはかなり難しく、結果として残業はどうしても発生します。やはりワーカホリックの人は多く、そうでない人は合わない部分があるかもしれません。最も、ラクをしようとしてコンサルティングファームに入る人はまずいないと思うので、想定の範囲内かと思いますが。
アクセンチュアからの転職先
アクセンチュアから転職する人を見ていると、戦略系のファーム(ボストン コンサルティング グループやA.T.カーニー等)に行く人や、事業会社に特定分野の有識者として行く人、ベンチャー企業のマネジメントポジションで行く人など色々な人がいます。転職理由は年収をより上げるため、やりたいことをやるため、働きやすくするため、という感じです。コンサルティング業界はかなり人の出入りが激しいので、入って数年で辞める人も多い印象があります。
(参考)あるコンサルタントの1日の過ごし方
最後に、実際の社員が1日でどのような動き方をしているかを紹介します。
~あるAccenture Consulting コンサルタントの1日~
7:00 起床
クライアントのとのミーティングが朝9時にある日はだいたいこれくらいに起床。
クライアントオフィス常駐なので、出社先はクライアントの本社がある六本木。
上りなので電車がかなり混み合うのがしんどいが、行くしかない。
8:30 オフィス着
9時のミーティングに向けた最終確認を開始。準備は前日に終えているし、通勤中にも脳内で確認していた。もちろん、就業時間は8:30からつける。
ミーティング内では、プロジェクトの進捗管理と、論点の議論を実施。参加者は課長レベルだが、部長・役員レベルの意思決定が必要なマターが発生した。現場レベルでは決定できないため、改めて部長・役員への説明の場を設け、プロジェクト・会社としての判断を下してもらうことに。
クライアントの上層部とのコミュニケーションが発生するため、ミーティング終了後にマネージャーへ報告。論点の整理と今後のワークプランを議論。
クライアントには、部長・役員への報告を上げてもらい、ミーティング日時の調整を依頼。
11:45 ランチ
そうこうしているうちに昼飯時になる。
六本木エリアは店も多いが人口も多いため、ランチタイムは店の混雑が必至。早めにオフィスを出る。
なお、コンサルタントはこだわりの強い生き物で、クライアントオフィス近くの美味しいお店をリストアップし、更にはExcel管理して地図に記載している人もちらほらといる。
今日は先輩のリストにある中華へ行くことに。
ランチでは仕事の話をしない人もいる。いずれにせよチーム単位で行動することが多いので、親睦を深めコミュニケーションを円滑にできるようにすることは非常に大事。
12:45 午後の作業開始
ランチタイムは1時間取れるので、余裕のある時はきっちり1時間消化して戻る。
午前中整理した論点を基にPowerPointで資料作成を開始。途中、クライアントに聞かないと不明なところがいくつか発生したため、仮説として記載し、まとめて確認を取りに行くことにした。
その他、データ集計の作業もあるため段取りと時間を決めて進める。
今日は19時から社内の勉協会が本社であるため、18時にはオフィスを出なければならない。ちょっとタイトだができるところまでやる。
19:00 社内勉強会参加
部門にもよるが、月に1回程度、業界の新しいニュースや先進的なプロジェクト事例を紹介、議論する場が設けられている。
今日は業界の新しいテクノロジーと今後のプロジェクト提案機会についての紹介。プロジェクトワークだけでなく、新しいプロジェクトの提案を行うこともあるため、自分が使える材料がないかを集中して聞く。
20:30 社内事務処理
経費精算は本社の所定の封筒を使って行わなければならない。普段はクライアントオフィス常駐のため、そこまで本社に来る機会がないので、勉強会後で疲れたが勉強会に参加した他のメンバーと今やってしまおう。
終わった後は、オフィスを出てそのまま飲み会に。翌朝にミーティングがあるメンバーもいるため、クイックに飲んで早めに解散するプランとなった。
コンサルに転職するならアクセンチュアは受けやすい会社
コンサルティングファームって何をしているのか、またアクセンチュアって気になるけどどんな会社かよくわからないと言われることがよくあるので、まとめてみました。中の人の意見としては、辛いことももちろんあるけれど、人間関係がフラットで上司とも話しやすいし、仕事のテーマも先進的で面白いし、給料もそれなりなのでそこまで不満は感じていないです。コンサルティングファームを受けてみたい、という人には比較的受けやすい会社だと思うので、是非トライしてみてください。
参考: