2021/01/24

20代・30代が最低限持っておくべき資産形成の基礎知識

20代・30代が資産形成をする上で最低限持っておくべき基礎知識をまとめました。20代・30代が主に使うべき資産形成のための商品とそれぞれの特徴について解説していきます。

20代・30代が使う資産形成商品

ゆーいちろー(@9ichi6)です。

今回は、20代・30代が資産形成をする上で最低限持っておくべき基礎知識について解説します。

(参考記事:『20代・30代が資産形成を始める前に考えておくべきこと』)


資産形成の目的を定めて、目標を決め、手段となる商品基礎知識を身に付ければ、後はバランスと組み合わせを考えるだけになります。今回はその中の"手段"にフォーカスを当ててお伝えしていきたいと思います。

基本的には、20代・30代の資産形成は以下の5つでカバーできます。それ以外の投資に関しては+αで考えるのが良いでしょう。

1. 投資信託積立(iDeCo、DC、一般NISA、つみたてNISA)

2. ETF

3. 生命保険(掛け捨て、積立)

4. ワンルーム不動産

5. 個別株(持ち株を含む)

1. 投資信託積立(iDeCo、DC、一般NISA、つみたてNISA)

投資信託は、多数の投資家から集めたお金をひとつの資金としてまとめ、株式や債券、不動産等で運用し、運用成果を投資家それぞれの投資額に応じて分配する金融商品のことです。ファンドとも呼ばれます。少額から非常に多くの投資先に資産を振り分けることができます。

運用方針はファンドによって千差万別で、主に市場連動型のインデックスファンドと、定めたベンチマーク(日経平均やNYダウ)を上回るパフォーマンスを目指すアクティブファンドに分けられます。

インデックスよりパフォーマンスの良いアクティブファンドも複数ありますが、選び方が分からない人は、信託報酬の安いインデックスファンドで十分でしょう。S&P500連動型や、全米&全世界株式系が人気です。

購入方法としては、ネット証券か、今後のアクティブ運用を想定してプロの助言が欲しい人はIFAの人に依頼して口座開設を行い、毎月積立で購入していく流れです。

トータルパフォーマンスとしては、一括で投資した方が複利効果もあり高くなりやすいのですが、20代・30代で手元余剰資金が潤沢にある方も少ないですし、基本的にはドルコスト平均法で時間の分散効果を狙いながら、毎月積み立て投資をしていくのがおすすめです。

税や金額、投資方針

投資信託は、普通分配金と譲渡益に20.315%の税金がかかります。その税金が期間内であれば非課税になるのが、iDeCo、DC、一般NISA、つみたてNISAです。iDeCo、DCは、一般NISA、つみたてNISAより流動性がなく(原則60歳まで引き出せない)、所得控除があります。投資信託を購入する場合、リスク、手間を把握した上で活用を検討すべき制度と言えるでしょう。

拠出上限は、一般NISAは600万円(120万円×5年間)、つみたてNISAは800万円(40万円×20年間)、DCは企業と個人拠出の合計が66万円/年(5.5万円/月)、企業年金を併用している場合は33万円/年(2.75万円/月)、iDeCoは個人の属性によって14.4万円〜81.6万円/年(1.2万円〜6.8万円/月)になります。

自身の属性や、会社のDC制度を把握して、どの制度を活用するか考えるのがおすすめです。枠の上限を超えた投資額は、基本的には特定口座でシンプルに積み立てていくことになります。

投資方針はあくまで人それぞれですが、普通分配金と譲渡益が非課税になるメリットを活かすのであれば、国債メインの先進国債券型や貯蓄型の商品よりも、株式型のインデックスファンドや高配当タイプのような、ポートフォリオの中でもリターン追求目的の資金を、iDeCo、DC、一般NISA、つみたてNISAの枠に振り分けた方が合理的な可能性が高いです。

例えば別で貯金をしたり、保険に加入している人は、安定重視の債券型の投資は既に行っていることになります。全て固く資産形成していく意向の人は、非課税枠を活用した投資も安定資産に振り分けた方が良いですが、一部リスク資産も保有したい意向の人は、非課税枠はリスク資産に振り分けるのが、基本的には良いと思います。

仮にパフォーマンスがマイナスになった時は、非課税枠を活用する投資の方がデメリットが多くなる場合もありますので、注意が必要です。

メリット、デメリットを把握して、キャリアビジョンをイメージして、方針を決めた上で、一番自分に合う投資先、投資手法を選ぶようにしましょう。

2. ETF

ETFは日本語で上場投資信託と言います。基本的には投資信託と同じ考え方で大丈夫ですが、一般的な投資信託との違いは、上場か非上場かの点です。上場しているETFは、株式と同様、相場の値動きに応じた自由度の高い売買が可能になります。

売りは、買いよりもはるかに難しいので、あくまでバイ・アンド・ホールドの長期目線の投資として活用するのが、資産形成の観点ではおすすめです。

20代・30代の方は、積み立ては非課税枠を活用して投資信託、+αの部分は手数料が投資信託と比べて安い傾向にあるETFというように分けるのも合理的だと思います。

「ETFは積み立てができない」と思われている方も多いと思いますが、株式累積投資という仕組みを活用して、毎月積み立てで購入できるETFも多くありますので、ご自身の投資方針に合うETFがあれば、株式累積投資が使えるか調べてみてください。

3. 生命保険(掛け捨て、積立)

生命保険には主に2つの機能があります。保障と貯蓄&運用です。複合する商品も多くありますが、本記事では目的を分けて説明します。

保障

保障の種類は主に3つあり、死亡保障、障害含む就業不能保障、がん等含む医療保障です。

死亡保障

死亡保障は、シンプルにお伝えすると"自分が亡くなった後に必要なお金を残す"目的で加入するものになります。

分かりやすい例だと、お子様がいる家庭で、収入が父親、母親どちらかに偏っている場合、万が一が起きたら遺族年金の10万円前後では生活費、教育費が足りない可能性があります。

所属企業の弔慰金、死亡退職金規程を踏まえて、足りない部分を埋めるために活用します。投資用不動産、住宅購入時に加入する団体信用生命保険も近い仕組みです。

家族で、万が一が起きた時にショートする資金については話し合っておくのが理想です。

お葬式、お墓代等の準備等もありますが、主目的は万が一が起きた後、残された家族に継続的にかかるお金の準備だと考えるのが良いでしょう。(被相続財産に不動産が多く、相続税が多額になる場合の準備目的で保険加入するケース等もありますが、20代・30代の資産形成においてこのケースが当てはまることは稀なので今回は割愛します。)

就業不能保障

就業不能保障は、主に、働くのが難しい場合に備える保障になります。所属の福利厚生に組み込まれている可能性もあるので、内容を把握しておけたら理想です。社会保障の傷病手当金が受け取れる期間が540日なので、その期間が終了後に受け取れるタイプと、同時平行でも受け取れるタイプがあります。生保系、損保系でも内容は違うので、活用する・しないを含め、ご自身の職業に合わせて選択するのが良いでしょう。

医療保障

医療保障は、入院、通院、手術や、がん含む三大疾病発生時等に給付金を受け取るものです。社会保障や、所属企業の福利厚生でカバーされている部分もあるので、そこを踏まえて、足りなくて困りそうな部分があれば加入を検討するのが良いと思います。

例えば、がん入院時に個室入院希望で、高額療養費の枠外の+α部分が必要な人はがん入院保険に加入したり、お子様を予定している人は、手術保険は帝王切開で出るものが多く、1人目が帝王切開の場合、2人目も帝王切開になる可能性が高い為、手術保険に加入したり、個人の状況や意向によっても違いますので、分析と判断が必要だと言えるでしょう。


以上、保障目的の保険は掛け捨てのものが多く、数百円〜数千円で収まる可能性が高いので、ご自身の意向に合わせて、必要であれば加入を検討してください。

貯蓄&運用

貯蓄型(運用型)の保険は、保障も付いている場合がほとんどですが、主に資産作りの観点からお伝えします。

株式型の変額保険を除いて、積立タイプの生命保険はほぼ債券で運用されており(変額保険はリターンが確定しないので、今回は省略します。)、個人が長期の債券を平準払いで買えるようにしたものになります。

長期の債券は機関投資家やロットの大きい金額でしか投資できないものが多く、保険のメリットとしては、固い運用でも貯金より将来的なリターンが大きいものが多いこと、確定年金や終身年金受け取りが活用できて、将来毎月受け取るお金を確定できること、が挙げられます。

リターンの期待値は株式型の投資信託等より低いので、将来必ず必要になるお金は保険、リターンを追求するお金は株式型の投資信託、というように、目的に合わせて資金を分散するのが良いと思います。

また、掛け捨てでも積み立てでも、生命保険には、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の所得控除枠がありますので、そちらの活用も考えると、より資産形成のパフォーマンスは上がりやすいです。

4. ワンルーム不動産

20代・30代の資産形成では、ワンルームの不動産投資も検討する価値が十分にあります。詳しくは以下リンクを参照してください。

参照:『20代で不動産投資をするメリットを徹底解説【物件や業者選びのポイント・注意点まで】

5. 個別株(持ち株を含む)

個別株については、20代・30代の資産形成には向かない部分が多いです。(潤沢な資金があれば、高配当の株式にいくつか投資して配当生活したり、優待目的で色んな株を購入したりするのもありです。)

また、所属企業の持株会は社員は5〜40%の割引が適用されることもあり、活用を考えた方が良いケースもあります。(収入源も資産も同じ会社に集約されるリスクは考えて行いましょう。)

また、個別株は"この企業はまだ注目されていないけど、これから成長するかもしれない"という予測を元に行えるのも良い部分です。

エピソードを2つご紹介します。

エピソード1:ミクシィの復活

私が野村證券にいた2013年頃、IT企業に就職した就活時代の友人と飲んでいた時、彼は「最近、ミクシィがイケてるんだよなあ」と呟きました。

「今、mixi使っている人いないだろ」と私はてっきりSNSの話だと思って突っ込みましたが、彼の話によると、スマートフォン向けゲームがイケてるという話でした。

私は自分でも調べた後、顧客にミクシィ株をお勧めし、そのタイミングで購入してもらった株は約3.5倍になり、非常に喜んでいただくことができました。(焦って売らずに置いておけば、1年で約20倍まで増えていたので、実力不足でした。ちなみに、顧客と利益相反になるリスクもあり自分では買えず、私の資産への寄与度は0でした。)

エピソード2:初めて見た自動車メーカーの株が40倍に

私の先輩に、毎年アメリカ旅行に行き、トレンドが作られる傾向にある都市を歩いて回り、次に流行るものを予測されている人がいます。

彼は、2013年のアメリカ旅行時に全く知らない車を見かけてすぐに調べ、この会社は面白いと思い株を1,000万円購入したそうです。

その1,000万円はしばらくはなかなか増えませんでしたが、昨年4億円の価値になりました。そう、彼が購入したのはテスラの株だったのです。

エピソード1で学べることは、自分や周りの人が世の中より早く、正確に得られる情報は必ず存在するので、それを活かすことができたら、個別株投資はうまくいく可能性が高いということです。

エピソード2で学べることは、既に世の中から注目されているものではなく、これから世の中が注目するであろう企業に投資する、ということです。

これは20代・30代の人の方が、年配の人よりも得意かもしれません。iPhoneも、Amazonも、Facebookも、おそらく若い人の方が遥かに先に使いはじめたはずです。

世の中のトレンドを読む力を活かせたら、株式投資で勝てる可能性は飛躍的に高まります。本業がある若い方は、細かいテクニカル分析より、そちらの方が向いているでしょう。

ただ、個別株は1つの不祥事等で大きく値動きしたりするものですし、企業は栄枯盛衰が常なので、資産形成の土台のお金を使ってまで行うのではなく、あくまで+αで行うべきであるという認識は持っておくことをおすすめします。

自分の状況と意向に合わせてバランス良くポートフォリオをつくることが大切

それぞれの金融商品にはメリット・デメリットがあり、自分の状況と意向に合わせて、バランス良くボートフォリオをつくることが大切です。

SNSを見ていると、あれがいい、これはだめ、といった発信が多く見受けられますが、資産形成商品はあくまで"手段"なので、偏った意見に流されず、信頼できるプロの力も借りながら、自身の目的と合ったものをチョイスしていっていただければと思います。

ひとりでも多くの人が、より良い資産形成を行い、豊かな未来と、安心感ある現在を過ごすことを願っております。

ゆーいちろー

"日本に1秒でも早く人生とお金について真剣に考える文化をつくる"ことを志す金融マン。

大手証券会社→大手保険会社のキャリアを歩み、表彰多数。2021年度MDRT、TOT会員。

自身でも証券、保険、不動産等あらゆる投資を行い、知識と経験を元に800人を超えるクライアントを担当。

専門はU-35の資産形成と法人の財務スキーム。九州男児31歳。

Twitterはこちら

ゆーいちろーに相談する
HOME記事一覧Page Top